タイミング法

現在、日本は「不妊大国」とも言われており、6~7組の夫婦に1組の割合で、何らかの不妊治療を受けていると言われています。不妊の原因は、はっきりとわかっているものから、不明のものまで、本当に様々あります。少し前までは不妊というと、女性の問題と思われがちでしたが、男性、女性、原因はほぼ半々です。

不妊の原因としてポピュラーなものもあれば、あまり聞いたことのない、稀なものもあります。そんな、あまり聞かない不妊の原因の一つに、抗精子抗体が原因のものがあります。

不妊に悩んでいる女性の3~4%の人が、この抗精子抗体によって不妊治療を受けています。今回は抗精子抗体が陽性となった場合、妊娠に対してどのような影響があるのか、また、治療方法などについて調べました。

妊活は女性だけの問題ではありません!男性の理解と協力が必要です。

抗精子抗体とは?

「抗体」という言葉は聞いた事があっても、「抗精子抗体」という言葉を聞いた事がある人は、どのくらいいるでしょうか?そもそも、抗体とは、人の体内で細菌やウイルスと戦い、からだを守ってくれる(体内で作られる)物質です。文字の意味からいくと、「精子に抗う抗体」という事になります。

抗精子抗体とは、その文字、言葉の通り、男性の精子を体内にて異物とみなし、排除するように働く抗体のことです。

妊娠するためには、女性の体内にて卵子と精子が出会い、授精する事が不可欠です。しかし、稀に抗精子抗体を体内にもつ女性が居て、それは精子を排除するように働くため、妊娠する事が難しくなります。

実際には、抗精子抗体を持つ女性の体内に精子が入ってくると、精子同士をくっつけ塊にして動けなくする、または精子自体から運動能力を奪い活動出来なくする、ということが起こり、授精が難しくなるのです。

この抗体を持っているのは、不妊に悩む女性の3~4%程度と言われています。なかなか妊娠できない、不妊の原因が見つからないと言った場合に、一度抗精子抗体を持っているかどうかの検査を受けてみても良いかも知れません。

抗精子抗体が陽性に…妊娠は可能?

抗精子抗体の検査は血液検査のみで可能で、簡単に受けることができます。この抗体、実は男性の体内にもできることがあります。男性の体内で抗精子抗体が作用すると、精子の活動は抑えられてしまい、精子無力症と診断されることもあるようです。

しかし、すべての精子が抗体の影響を受けている訳ではありません。男性側で抗精子抗体が陽性となった場合、妊娠は難しくはなりますが可能性が全くなくなる、ということではありません。逆に女性側で血液検査の結果、抗精子抗体が陽性となった場合、上記のような免疫システムが体内で働くため、自然妊娠はかなり難しいと言わざるを得ません。

ただし、それはあくまで自然妊娠が難しくなるのであって、妊娠ができなくなるということではありません。抗精子抗体は、精子に対して攻撃をしかけるため、体外授精を行い受精卵を女性の体内に戻せば妊娠は可能なのです。不妊の検査を受けても、原因不明とされることは意外と多くあります。

そういった原因不明の不妊の数パーセントは、抗精子抗体が原因という事も考えられます。抗精子抗体が原因の不妊ということが特定できれば、不妊治療の方針も定まり易く、妊娠への近道となるでしょう。

もし不妊検査の結果、原因が不明とされたならば、抗精子抗体が原因であることも視野に入れておいた方が良いかも知れません。

抗精子抗体陽性…治療方法は?

抗精子抗体が陽性になると、不妊の原因となる事がわかりました。では、抗精子抗体が陽性になった時、どのような治療を行えば良いのでしょうか。この抗体自体を体から無くすことは、まず不可能です。

しかし、この抗体の体内での存在数によっては(存在数が少ない時)、人工授精で妊娠する事が可能な場合もあるようです。また抗体の数は、時期や条件によっても増減する事があります。例えば、コンドーム法という治療方法があり、この方法では、性交渉時にコンドームを利用して、精子に触れない期間を作ります。

精子に触れない期間があると、抗精子抗体は働く対象が無くなるので、存在数は減る方向に動きます。抗体の数が減った時に人工授精を行えば、妊娠の可能性が上がるという訳です。

しかし、妊娠する事(授精すること)が難しいといった事に変わりはなく、確実な治療方法とは言えません。抗精子抗体によって不妊と判断された場合は、抗体値によっては人工授精を試み、うまくいかなかった時は早めに体外授精へとステップアップするのが妊娠への近道となります。

不妊治療には期限はないものの、年齢と共に妊娠率は落ちていきます。抗精子抗体陽性での不妊という事になれば、自然妊娠が難しいことや体外授精が有効である事を理解、納得し、年齢の事も考慮して早めに高度な生殖医療(体外受精や顕微授精)に取り組むのが良策でしょう。