妊孕能温存手術

「妊孕」という言葉、何と読み、どのような意味かわかりますか?「妊孕」とは「にんよう」と読み、妊娠すること、身ごもる事を意味します。

女性には女性にしかない臓器である卵巣や子宮を体内に有していますが、それらがあるからこそ妊娠する能力があると言えます。

しかし、そういった臓器もさまざまな原因によって病気にかかったり、時にはがんという思い病気を患う事もあります。卵巣や子宮などにがんのような病気が見つかれば、場合によっては臓器を全摘出するような手術を受けなければならない可能性もあります。

卵巣や子宮を全摘出してしまっては、どんなに希望しても妊娠や出産は叶わなくなってしまいます。もし卵巣や子宮にがんが見つかったら・・・。妊孕能温存手術を受けることができれば、妊娠や出産は可能なのでしょうか?

妊娠・出産するために大事な卵巣と子宮

赤ちゃんを身ごもり出産する、これは女性にしかできないことで、卵巣や子宮を有する女性だから出来ることと言えます。妊娠するためにはまず、女性の体内にてタイミングよく男性の精子と女性の卵子が出会う事が必要となります。

卵子は、卵巣の中に存在しているたくさんの原子細胞の中から、毎回(毎周期)複数個が排卵に向け育ち、その中でも良く育った一つが排卵日に放出されます。放出された卵子は卵管で精子と出会い、授精し、受精卵となり、細胞分裂を繰り返しながら子宮を目指します。

子宮にたどり着いた受精卵は、ふかふかの子宮壁に着床することで妊娠が成立します。受精卵は胎芽、胎児へとその後もどんどんと成長を続け、出産までのおよそ10ヶ月もの間、子宮に守られながら誕生の時を待ちます

。このように、妊娠や出産が成り立つためには、卵子を有する卵巣の存在が不可欠であり、その後赤ちゃんを誕生の瞬間まで守り育てる子宮の存在は必須なのです。世の中には「代理出産」などの、他者の受精卵を子宮に戻し出産に至るケースもあるため、そういう意味では出産には子宮のみが必須なのかもしれません。

しかし可能な限り自分たちの子供が欲しいと望むのは普通のことであり、そう考えると卵子を有する卵巣や男性の精巣に関しても妊孕能温存のためにはとても大事な存在であると言えるでしょう。

妊娠ができなくなる可能性のある病気とは?

妊娠がしにくくなる病気というのはたくさんあり、その中にはホルモン異常であったり、卵管閉塞であったり、子宮筋腫といったものがあります。これらは、妊娠がしにくくなる病気や症状の一例であり、俗にいう「不妊症」の原因の一部分です。

こういった「不妊症」で妊娠ができないのであれば、治療や高度な生殖医療を受けることによって、妊娠できる可能性は十分にあります。

しかし女性特有の病気の中には、妊娠できる可能性すらゼロにしてしまうものがあります。それは卵巣や子宮自体をむしばむ、卵巣がんや子宮がんといった病気です。卵巣がんや子宮がんといった病気が見つかれば、その病状や進行具合によっては、卵巣や子宮そのものを摘出する手術を受けることによって治療が行われる場合があります。

卵巣や子宮というのは、摘出してしまっても命に別状はないため、患者に妊娠の希望が無いのであれば、がんと断定できなくてもその恐れがある場合やそういった病気の予防のために全摘出することすらあるのです。

こういった卵巣がんや子宮がんといった病気になってしまった場合、絶対に妊娠や出産をすることはできなくなってしまうのでしょうか?もしこのような病気になってしまっても、妊娠や出産が可能だとすれば、どのような方法があるのでしょうか?下記ではその方法を調べてみました。

▼参考 妊娠を望むならチェック!卵巣がんになる原因と予防方法

妊孕能温存手術とは?受ければ妊娠出産は可能か?

もし卵巣がんや子宮がんといった病気になってしまい、卵巣や子宮といった臓器を全て摘出してしまうことになれば、妊娠・出産することは出来なくなってしまいます。では、子宮がんや卵巣がんになった人が必ずしも全員、妊娠・出産が出来なくなるかと言えば、そうとも言えません。

がんのできた部位や病状の進行状況によって、または、多臓器への転移などが認められなければ、妊孕能を温存した治療が受けられるからです。卵巣がんを例に挙げると、卵巣にがんが見つかった場合、(患者に妊娠の希望も無ければ)通常の卵巣がんの治療では、卵巣、卵管、子宮などの臓器は全て摘出するような処置がとられるようです。

このような通常の治療、手術を受けてしまうと、妊娠することは出来なくなってしまいますが、条件次第では妊孕能温存手術(卵巣や子宮などを残し、妊娠する能力、力を温存する手術)が受けられるのです。

卵巣は女性の体内に2つ存在します。そのどちらかに卵巣がんが見つかった場合、患者に強い妊娠の希望がある場合でもう一方の卵巣や子宮などにがんの転移が認められない場合には、卵巣や子宮を温存した治療・手術が受けられることがあります。

卵巣や子宮の温存が叶えば、妊孕能は残ることになり、妊娠や出産も可能となります。子宮がんに関しても、がんのできた部位によっては、腫瘍部分のみの核出術にて処置ができることがあり、子宮が温存できれば妊娠・出産はもちろん可能です。

すべての子宮がん、卵巣がん患者に妊孕能温存治療ができる訳ではありませんが、早期の発見や早期の治療が叶うならば、希望はもてます。卵巣や子宮というのは、病気を起こしやすい部位でもあるため、特に妊娠を望んでいる女性は、まずは定期的な検査をを受けるなど、病気の早期発見に努めることが大事ではないでしょうか。

▼参考 どこで検査できる?卵巣がんの検査方法と必要な費用まとめ