人工授精後

基礎体温を測定し毎日記録することが習慣になっている方は、どのくらいいるでしょうか?私は妊娠を意識し不妊治療を始めるまで、基礎体温を測定することをしてきませんでした。

それまで、なんのために測るのか、基礎体温を測定することで何がわかるのか、ということについても知識が乏しかったのです。

不妊治療を始めるとたいていの場合、病院側から基礎体温を記録することを指示されるでしょう。基礎体温表は色んな情報を与えてくれます。

あまり基礎体温について詳しくない人でも、「妊娠が成立すると体温が高温をキープする」ということは知っているのではないでしょうか。

これは不妊治療である人工授精によって、妊娠が成立した場合でも同じです。では、人工授精の処置後に体温が上がらない場合は、治療が失敗したということでしょうか?気になる点をまとめてみました。

基礎体温の動きは1周期でどうなる?

生理が開始した日を1日目として、次の生理が開始するまで正常な生理周期がある方であれば、28日~30日で1周期となります。

この1周期の間に基礎体温を測定していれば、低温期と高温期があります(なければ何かしらの疾患がある可能性があります)。

一般的に、低温期から高温期に移行する時に排卵が起こると言われています。

低温期は卵胞期とも言われ、卵巣の中で卵胞が育ち排卵の準備をしています。十分に育った卵胞から排卵が起こると体温は上昇し(すぐに上昇する人もいれば、2~3日かけて徐々に上昇する人もいます)、高温期へと移行します。

高温期は黄体期とも言われ、低温期中に卵胞だった組織は排卵後、黄体という組織に変化し、妊娠を継続するのに重要なホルモンを分泌します。

このホルモン(プロゲステロン)が分泌されると子宮内膜は着床を助けるために厚くなり、体温も高温を保ってくれます。

妊娠が継続されると、プロゲステロンはしばらく分泌され続けるので、それに伴って体温も高温を保ち続けることになります。

つまり妊娠が成立すると、排卵後からしばらく体温は高温で移行し続けるという事になります。

人工授精後の体温の動きはどうなる?

では、人工授精における基礎体温では、その動きはどうなるのでしょうか?

人工授精では、女性の排卵時期を特定し、それに合わせて男性の精液を採取し、洗浄濃縮を行い女性の子宮内に直接精液を注入します。

その後の妊娠成立までの過程は、自然妊娠のそれと変わりはありません。よって、基礎体温の動きについても自然妊娠時と変化はないはずです。

高温期をキープし続けるのであれば、「妊娠の可能性が有る」という事になります。

ただし、人工授精では多くの場合、排卵後から黄体ホルモンを補充する薬を処方されることがあります。この薬を服用している間は、体温は高温期を保持するので、服用終了後、数日間の様子をみる必要があります。

⇒ 人工授精後の黄体ホルモン剤の効果とは?副作用は?ルトラール

体温が上がらない場合は失敗?原因は?

人工授精後に基礎体温が上昇しない原因について考えらることの一つに、「排卵障害」があります。

これは自然妊娠時でも同じことが言えますが、上記でも触れたように、基礎体温は排卵を挟んで低温期から高温期へと移行します。

しかし、排卵障害がある方では排卵が何かしらの原因でうまく起こらないため、体温が高温期へ移行しないことがあります。

排卵が起こっていない訳なので、授精・着床も起こらず、妊娠は不成立ということになります。基本的には排卵が起こると体温が高温へ移行し、それが継続することで妊娠の可能性を示唆します。

しかし、排卵が正常に起こっていても、なかなか体温が上がらないこともあります。通常低温期と高温期の体温差は0.3~0.5度ほどで、これだけの体温を上昇させるのに1週間ほどかかる場合もあります(私がそうでした)。

こういった場合、人工授精では体温の上昇を助けるために注射をしたり(HCG)、さらに黄体ホルモンの補充を行うことで高温期を助ける治療を行います。

人工授精後に体温が上がらないからと言って、すぐにその治療が失敗だったと結果付けるのは時期尚早です。焦らず判定の時期を待ちましょう。

⇒ 人工授精がうまくいかない時の原因として考えられること