他人の精子

子供が欲しいけれど授かれない、不妊症に悩む夫婦が現在とても増えています。不妊の原因は様々で、治療すれば妊娠が可能になる事もあります。長い期間を要することになったとしても、ひと昔前であれば不可能だった内容でも、高度な生殖医療の技術を持ってすれば、妊娠できる可能性が十分に出てきました。

しかし、現在の高度な医療技術を持ってしても、難しい不妊の原因というのもあります。そのうちの一つが男性不妊の無精子症です。

無精子症では、精液中に精子がほとんど無いか存在しないため、妊娠が成立しません。このように、治療しても極めて妊娠することが難しい夫婦にとって、子供を持つ希望となるのが第三者からの精子提供です。

しかし他人の精子の提供を受けて、妊娠・出産することに、法的な問題はないのでしょうか、また実例などはあるのでしょうか?精子提供の実際を調べてみました。

妊活は女性だけの問題ではありません!男性の理解と協力が必要です。

精子提供での妊娠・出産という選択

不妊の原因の中でも、子供を授かる希望の薄いものに、無精子症があります。無精子症のなかでも非閉塞性の無精子症では、精巣で精子がほとんど、もしくは全く作られておらず、精液中に精子が存在しなければ妊娠することはできません。

子供を望んでいて、女性側には何も問題がないけれど、男性側に無精子症があり妊娠が困難となった場合、どのように考えるべきでしょうか。

子供を諦めて夫婦だけで生きていくという選択もあれば、養子を迎えるという選択もあります。または、せめて妻の子供が欲しいとの思いから、第三者から精子の提供を受けて妊娠・出産を考えるかもしれません。

女性側に何も問題がなければ、精子の提供を受けての妊娠・出産は十分可能なことです。しかし、配偶関係に無い男性の精子提供を受けて、妊娠・出産することに対して、違法性はないのでしょうか?

また、そのようにして授かった子供に対し、父親との戸籍上での親子関係はどうなるのでしょうか?法律上、戸籍上、何も問題が無く精子提供を受けることが出来るのであれば、男性不妊で子供が持てない夫婦にとって希望となるでしょう。

次項では非配偶者間での精子提供による妊娠・出産の実際について、方法や実例を調べてみました。

非配偶者間人工授精とは?

現在の日本において、第三者の精子提供を受けて妊娠・出産することは、違法ではありません。と言うのも、生殖に関しての法律はまだまだ整備されておらず、ガイドラインがきちんと決まっていないというのが現状です。

男性不妊などが原因で妊娠が困難な夫婦において、医療機関で行っている精子提供の実際には、非配偶者間人工授精(AID)があります。AIDとは、提供された第三者の精液を用いて人工授精をし、妊娠・出産を目指す方法です。

現在AIDが行われている医療機関は、日本には数える程しかありません。医療機関で行われている精子提供では、精子のドナーの条件がきちんと決まっており、感染症のチェックなど検査も行われているので安心できます。

また、精子のドナーは匿名であり、身体的特徴を選ぶこともできません

実際の方法は、通常の人工授精と変わりは無く、女性の排卵期に合わせて精液を子宮に注入します。

治療が上手くいき、妊娠・出産した子供は、戸籍上夫婦の子供となり、戸籍を見る限りでは父親との親子関係が無いことはわかりません。

AIDの問題点として、妊娠率の低さがあります。感染症チェックの観点からドナーの精液は冷凍保存されます。解凍された精液を用いての人工授精では、一回あたりの成功率が3~4%と決して高くはありません。

とはいえ、無精子症の夫婦にとってみれば、子供を持てる希望のある治療であり、法的、戸籍上も問題は無さそうです。現在までにAIDによって産まれた子供は、1万人を超えていると言われています。

無精子症の男性が増えていると言われる現在において、精子提供による妊娠・出産は今後も増えていくでしょう。

⇒ 非配偶者間人工授精(AID)とは?妊娠率や問題点、費用は?

医療機関を介さないで精子提供を受けられる?

上記、非配偶者間人工授精は医療機関で行われている、第三者からの精子提供による不妊治療ですが、婚姻関係にある男女にしか適用されません。しかし世の中には、結婚はしないが子供は欲しいという女性や、同性愛のカップルなど、夫婦間でなくても子供が欲しいという人達がいます。

このような人達は医療機関を利用することは出来ません。そういった場合に利用されるのが、民間の精子バンクや、個人の提供主です。民間で精子の提供を行っている精子バンクでは、医療機関ほどでは無いにしろドナーに対して様々なチェック、検査を行っています。

また、医療機関では選択できなかった、精子提供者の身体的特徴などについて、ある程度であれば選択できる施設もあるようです。

精子バンク以外にも、インターネットなどを通じて個人的に精子を提供している人もいます。どちらも違法ではありませんが、衛生面や感染症などの観点からいうと、医療機関に比べると不安が残る提供元であると言わざるを得ないでしょう。

それでも夫婦間でなければ医療機関を利用できないため、精子バンクや、個人からの提供を受ける人も多いようです。

精子提供による妊娠・出産は、法律上に問題が無く、時代背景とも相まって増えているのが現状です。しかし精子提供による妊娠・出産には問題点も多く、倫理的、人道的観点から、否定的な人も少なくありません。

子供を諦めるという選択も、精子提供を受けて妊娠・出産にチャレンジするという選択も、決めることは本当に容易ではありません。何度も話し合いを重ね、将来に渡って後悔のないような最善の選択をしたいものです。