化学流産

妊娠待ちをしている人であれば、一度はフライング的に妊娠判定薬を使ったことがあるのではないでしょうか。私もその一人で、不妊治療をしている時は生理予定日頃になると結果の判定が待ち切れず、市販の妊娠判定薬を購入しては使用をしていました。

最近売られている市販の妊娠判定薬は、一昔前に比べて精度がとてもよくできており、通常であれば生理予定日の1週間後から検査ができるようになっているものであっても、生理予定日に検査を行うと(妊娠していると)うっすらと陽性反応を示すものがあります。しかし陽性反応が出て喜んだのもつかの間、その2,3日後に生理が来ることがあります。

実はこれは「化学流産」を起こしている状態なのです。フライング的に判定薬を使用していなければ、普通の生理とあまり見分けがつかないため、化学流産を起こしていることに気づかないことも多々あります。

この化学流産、妊娠を望んでいる人であればもちろん繰り返したくない事象のはずです。化学流産が起こる原因にはどんなことが考えられるのでしょうか?また、防ぐための治療法などはあるのでしょうか?考えられることを下記にまとめてみました。

妊活は女性だけの問題ではありません!男性の理解と協力が必要です。

化学流産とは?

「化学流産」という言葉を知っているでしょうか?通常、妊娠の判定というのは病院にて胎嚢が確認されて、初めて妊娠の成立が認められます。胎嚢が確認される以前に、着床の前後に妊娠が継続できずに終了してしまう事を「化学流産」と言います。

妊娠の判定を行う時、病院では血液検査を、個人では妊娠判定薬を使用することになると思いますが、共にhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の分泌量を見ています。このhCGホルモンは妊娠すると体内で増加するため、ある一定量以上の分泌がある場合に妊娠していると判断されます。

このhCGホルモンは着床開始から分泌が開始され始めるため、近年の精度の良い妊娠判定薬を使用するとhCGホルモンの分泌に応じて陽性反応が出てしまうことになります。受精卵ができて着床を開始しかけた場合や、着床はしたものの妊娠の継続ができなかった場合にもhCGホルモンは分泌されており、そういった時には早い段階で妊娠判定薬を試し陽性反応を確認しても、数日後に生理が始まることになります。

この化学流産は、「流産」と名はついているものの医学的には流産とは扱われず、過去の流産歴に残ることもありません。またこの化学流産では、その後にやってくる生理は通常の生理とあまり差異はなく(いつもより重めの生理だったり、月経血に塊が混ざることがある程度と言われています)、特別な処置が必要になる事はありません。

妊娠を気にしていて、フライング的に妊娠判定を行っていなければ、化学流産を起こしていることにも気づかないかも知れない訳ですが、なぜ化学流産を起こしてしまうのでしょうか。次項にてその原因について調べてみました。

化学流産を起こしてしまう原因とは?

化学流産は胎嚢が確認できる前に妊娠が終わってしまう超初期の流産という事ですが、何が原因で起こってしまうのでしょうか?実は化学流産であっても、通常の医学的にカウントされる初期の流産(妊娠12週くらいまでに起こる流産)であっても、原因は同じです。

妊娠の極々初期で起こる化学流産から、妊娠12週くらいまでで起こってしまう初期流産のほとんどは、受精卵の染色体異常が原因と言われています。授精はしたものの染色体に異常があるため、その後十分に発達することができず、流産となってしまうのです。

どんなに若くて健康な男女の間であっても、授精する卵子の25%、精子の10%には染色体異常があると言われています。染色体異常は防ぐことができないため、受精卵側が原因で起こる流産に関しては仕方のないこととして諦めるしかありません。ほとんどの原因が受精卵側の因子によるものだとしても、化学流産を繰り返すということになると、他の原因も考えなければなりません。

例えば母体側の問題として考えられるのは子宮の環境です。受精卵が着床をするためには子宮内膜が十分に厚くなり、着床し易い環境が必要ですが、黄体機能が不十分であればその環境は整いません。

また、体が冷えている人や運動不足な人であれば血流が悪く、子宮などの妊娠するために重要な臓器に血液が十分に行き渡らず、結果受精卵が着床し辛い環境を作ってしまっていることも考えられます。こういった母体側の問題は、ある程度自己の努力や治療によって改善することが可能です。

では具体的にどのようなことをすればよいのでしょう、次項にてまとめてみました。

化学流産、予防法や治療方法はある?

化学流産の原因のほとんどは、受精卵の染色体異常によるものであり、それを止める手段はありません。しかし、染色体異常以外が原因の化学流産において、日常生活を気を付けたり何かしらの治療をすることで防ぐことができるのであれば、妊娠を望んでいる人にとってはぜひ試してみたいことでしょう。

すぐに実践できる予防法としては、体の冷えを改善し、適度な運動をすることです。

上記でも少し触れましたが、冷えや運動不足は血行不良を引き起こします。体が冷えていたり運動不足によって筋力が衰えている状態では、血液を体の隅々まで行き渡らせる力も弱く、子宮や卵巣といった妊娠するために重要な臓器に十分な量の血液を届けることができません。血流が不足すると、子宮や卵巣などの臓器が本来の働きができず、妊娠し辛い環境となってしまいます。

まずは妊娠し易い身体作りとして、冷えの解消、運動不足の解消に取り組んでみてはどうでしょうか。

次に母体側の原因として考えられる黄体機能不全による着床障害ですが、これはホルモン剤の投与などの治療を受けることで治療が可能です。

黄体が上手く機能しないと、黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が減ってしまい、子宮内膜の維持が難しくなります。その結果、受精卵が着床し辛い、または着床しても内膜ごと剥がれ落ちてしまうということになり、妊娠の継続が難しくなります。

黄体ホルモンの分泌を促すホルモン剤を投与したり、または黄体ホルモンを直接投与するなどの治療を受けることで、妊娠の継続に期待が持てます。原因がはっきりしているものに対しては、何かしらの対策をとることはある程度可能ですが、化学流産を起こしている原因の全てがはっきりと解明されている訳ではありません。

そのため、日ごろから健康的な生活を心がけ、少しでも妊娠し易い身体作りをすることが化学流産を防ぐ最大の方法ではないでしょうか。