人工中絶

親であれば我が子に、健康で何の障害も無く元気に生まれてきて欲しいと思うのはごく普通の願いのはずです。しかしある一定の割合で、障害を持って生まれてくる子供は、必ずいます。お腹の中の子供に障害があるとわかった時、産む、産まないという選択は、ある期間まで可能です。

どちらを選択するにしても、とても悩ましく、決断するのにもかなりの時間がかかるでしょう。現在では出生前診断という方法で、お腹の中の子供がダウン症児であるのかどうか、判断する事ができます。

ダウン症児であることが判明し、中絶という道を選ぶとき、その選択はいつまでに決めなければならないのでしょうか。今回は出生前診断と中絶までの期間について、方法や時間などを調べてみました。

妊活は女性だけの問題ではありません!男性の理解と協力が必要です。

出生前診断とは?

女性の社会進出などの影響により、現在の日本では晩婚化、晩産化が目に見えて増えてきました。女性が35歳を超えて初産を迎えることも珍しいことでは無く、40代でママになるという人も決して少なくはありません。いわゆる高齢妊娠や高齢出産では、注意すべきことや気になることが沢山あります。

そのうちの一つが出生前診断を受けるか否か、という問題です。人間は高齢での妊娠や出産になる程、奇形児や障害児を授かる可能性が高くなり、妊娠中にお腹の中の子供に障害があるかどうかを調べる検査のことを、出生前診断と言います。

出生前診断には種類があり、超音波や母体の血液から調べる比較的簡単で危険の無いものから、絨毛や羊水を調べるため流産の危険が伴うものまで、様々です。これらの検査では、染色体や遺伝子の異常がどれくらいの確率で起こっているのかがわかります。

検査によってその精度や、分かる先天性異常の種類は変わってきます。現在では新出生前診断と言って、母体の血液を調べるだけで高確率で胎児にダウン症があるかどうかがわかる技術が開発されており、2013年から日本でも新出生前診断が受けられるようになりました。

出生前診断は受けられる時期がそれぞれ決まっており、結果が出るまでに1ヶ月ほどの時間を要するものもあります。検査の結果次第では、その後の行動をどうするのか、決めなければなりません。産む、産まないの選択は、限られた時間の中で決めなければならないのです。では、その時間というのは、いつまで、どの位あるのでしょうか?次項にてまとめてみました。

検査の結果、中絶可能な期間はいつまで?

日本における人工中絶の件数は、年間で20万件とも言われており非常に多い印象を受けます。人工中絶は受けられる時期が法的に明確に決まっており、妊娠21週までとなっています。これはいかなる場合でも適用されますので、出生前診断を受けた結果、産む、産まないという選択は21週が終わるまでに決断しなければならないという事です。

21週というと妊娠5ヶ月頃に相当するので、数字だけを見ると十分に考える時間があるような気がします。しかし、出生前診断は受ける時期が決まっており、結果が出るまでに時間を要するものもあります。例えば良く行われる出生前診断である羊水検査では、実施可能なのは15~17週頃で、結果が出るまでに2~3週間ほどかかります。

17週に検査を受けて結果が出るのに3週間ほど掛かるとなると、中絶手術を受けるか否かの選択は1週間以内に判断し、尚且つ産まない選択をしたならば、すぐに中絶手術を実行しなければならないという事です。

検査を受ける時期、結果が出る時期、中絶可能な時期、全てを考えて行動しなければ時間に余裕は無く、下手すれば短い時間で、熟考できないまま決断を迫られることになってしまうのです。出生前診断を受ける場合は、こういった事も考えた上で時期を決める必要があります。

出生前診断を受けるという選択

できる事ならば、生まれてくる子供には五体満足で何も障害がない事を望むでしょう。しかし高齢出産が増え、それに伴い奇形児や障害児が生まれる確率が上がっている事も確かです。出生前診断では、全ての異常や障害の有無がわかる訳ではありません。また、「どの位の確率で障害を持っているのか」がわかるだけで、産まれてみれば何も問題がなかったというケースもあります。

まずは「出生前診断を受けるか否か」という選択をしなければなりません。たいていの場合、なんのために出生前診断を受けるかと言われると、「障害の有無を調べて、中絶をするため」という事になるのでしょう。

そもそも、どんな問題があろうとも絶対に産む、と決めているのであれば、出生前診断をする必要は無いのですから。中には、障害があっても産む事は決めているが、それを早くから知る事によって心の準備や、産まれてから必要になるであろう準備のために受けるという人もいるかも知れません。

しかし、後者は稀なはずです。出生前診断は「命の選別」をしているとして、賛否両論です。せっかく奇跡の連続で授かった命を、障害を持って生まれてくる可能性が高いという理由で、切り捨てる選択をする材料になってしまうことは確かです。

障害がある子を産むにしても、産まないにしても、どちらが正しいということは、決して誰にも言えないと思うのです。絶対に安易な考えで出生前診断を受けることは避けるべきですし、受ける、受けない、また、結果を聞いてからの産む、産まないの決断は、限りなく慎重に行わなければならないでしょう。